邂逅3
軽いアガリの後の親番。
親番である私が仕掛ければ他家は警戒して、手を遅らせるだろう。
配牌を取りながら、「とにかく食い仕掛けていこう」 私はそう考えていた。
もちろん食い仕掛ける必要がない面前手であれば、聴牌即リーチだ。
相手を制圧してしまうことが一番大切なのだから。
視線を感じる。見つめられている。
配牌は、
二四②④⑧⑨799発発東南北。ドラは7。
赤牌はない。
赤牌はないけれど・・・
「よし、仕掛けて発ドラ1。親だし2900点で充分だ。」
三ワンや、③ピンから食い仕掛けることができれば
フリー麻雀最強の役であるタンヤオでを警戒させることができ、
他家を牽制することができる。最高の配牌だ。
密かにほくそえみながら、一番必要のない北を切り出す。
上家の三ワンに食いついて、チー
打⑨。二三四を晒す。
⑤をツモリ打⑧。
マンズを愚形処理風味に仕掛け
ピンズの上の愚形⑨からを払うことで、
タンヤオ、下の三色を思わせる。
赤牌のあるこのルールでは、タンヤオ仕掛けは
三色を匂わせることがコツだ。
とくに、ドラが中張牌の時などは
高目赤牌、12000なんて展開はよくある話。
そして、③をツモリ打南。
②③④⑤799発発東 チー三二四
6巡目に、待望の発をポン。
打東。
タンヤオに見せかけて、役牌を鳴く。
当時は、これが私の必勝パターンだった。
(必勝パターンだと思っていた。)
②③④⑤799。 ポン発発発 チー三二四
次巡②ピンをツモリ、打9ソウ
②②③④⑤79 ポン発発発 チー三二四
ドラを生かした、カン8待ちだ。
7巡目、2900点の聴牌。
この形から、さらに赤牌をひっぱってきたり、ドラの7ソウを引いたりして
手牌が勝手に高得点になっていったりしても構わない。
ちらりと、大男の捨て牌を見る。4巡目に8ソウを切っている。
「よし、いい展開だ。この大男からあがってやる。」
わたしは、なぜかこの大男を倒したくて仕方がなかった。
「しめしめ」そう思いながらも無駄ツモが続く。
12巡目、ツモッてきた⑤を空切りする。
「これで、ピンズも打ち辛いだろう。」
⑤の空きりは、他家にとっては⑤手出しと同じ。
④⑤⑤や、⑤⑤⑥からの切り出し、③⑤から②を引いての切り出しなど
聴牌変化の可能性は無限大に存在するはず。
これで、ピンズも打ちにくくなるはず。
大男の河をみつめる。
「早く8ソウ掴まないかなあ・・・」
私は大男の河を見つめ待ち続ける。
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