品行方正なぼく
大学に合格して、都内に凸して
ちょっぴりシチイボウイになった気がしてた。
短いあいだでも、きっと垢抜けているはずだ。
都内の雀荘は、マナーがよい。
点棒を支払うときも、
「おらっ!」
とか、
「ちっ!」
とかそんな擬音は聞こえない。
「ロン!1500点です!」
「はい!」
これよ、これ。
「なんじゃ、そのカスみたいな和了は?」
「せっかくマンシュウをテンパイしとったのに」
なーんてこというひとは、いない。
「はい!どうぞ!」
と点棒を支払ってくれる。
役満だってさ
「こけ、こけ、こけ、国士です~」
などとあわてふためくことはなく
「ロン!48000.」
と、クールに決められちゃう。
これよ、これ。
かっこよさと静けさ
そこに生まれる隠然さ。
スタイリッシュなシティ麻雀を身につけた私は、
もう、恐れるものはない。
帰省の長い夏休み。
仲間内の麻雀に少し飽きてきた
私は、フリー凸を計画しはじめる。
キタキューシューのフリー麻雀で
自分の力をためしたい。
「おひとりさまでもあんしん」
黄色地に赤い文字が誘う。
天ぷら屋さんの二階。
ソフトピンの500円、1000円、ときいた。
キタキューシューではおそらく
私の知る限り一番おやすいレートのはずだ。
凸します。