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恐怖の代走 完結編 [つかぴょんの麻雀小説]

つづきです。

*************

トイレから出てきた無法者は、まっすぐこちらに戻らずに、他の卓にちょっかいを出している。

今日はついてねえ、みたいな会話を交わしている様子が、遠くにうかがえた。

ついてないのは、こっちのほうだ。

心の中で私はそう叫んでいた。

「早く、誰かあがってくれ」

その私の満身の願いが天に届いたのか、上家から5000点棒でリーチが刺さった。

「おう、5倍のリーチだ、ケケケ」

「おい、若いの、両替してくれ」上家は、5000点棒を私に投げてよこした。

たのむから余計な仕事を増やさないでくれ。内心イライラしていたが、速やかに両替をして、ツモ山に手をのばしかけた、そのとき。。

にらむ.jpg

おう、振りこんでないだろうなあ?

 と私の背後より、声がかかる。

「きたーーー」

奴が帰ってきた。背後に修羅の気配を感じる。

「もうその局はおまえにまかせた、振るなよ」念を押し、無法者は私の背後の小さな椅子にドカッと座った。

私の手牌は 東東東ポンの ①③③③234七七

マンズの七七の部分を右手で力強く隠していたので、後ろから観ている無法者は、①③③③234七八九の聴牌と思っているはずだ。

だから、②や①が出たり、②や①をツモッたりすることが一番困る。

「何であがらないんだ!殺すぞ」となるに決まっている。

まあ、あがらない、じゃなくて、あがれない、なんですけどね、小牌だから。

ここで持ってきて欲しいのはダークドラゴンクラスの危険牌だ。

「あ、これはもう、代走なら切るわけないよね」みたいな牌。

祈るようにツモ山へ手をのばす。ツモ牌が、後ろから見えぬよう、ぐりぐり盲牌する。

もし、その牌が①や②だったら、ふせたまま、上家のリーチの現物である4ソウを抜き打つつもりだった。

盲牌した感じでは、縦に線がいっぱい入ってる。

なんだっけ?これ?。六ソウかな?と思って開くと、9ソウだった。

ちなみに私は、盲牌もへたくそである。

リーチ者の河には、4.5巡目に8ソウ7ソウが逆切りしてある。

手出しとか、ツモ切りとか全然見ていないので、捨て牌読みの根拠にはならないけれど、4ソウも切れているし、9ソウはいかにも安牌チック、とおりそうだ。

だがしかし、聴牌を壊すチャンスは今しかない。千載一遇のチャンス。

私は、後ろの無法者の良く見えるように、ツモッてきた9ソウを手牌の左側に留め、

「この9ソウを持ってきたから降りるんだ、良く見とけ」とばかりにリーチの現物の4ソウを抜き打った。

絶対に振るな!、というご主人の言いつけを忠実に守る形となったのだ。

「一発ツモ、6000オール」12345678②③④⑤⑤ 3ツモ。

ドラを大切にした為、面子過多のソーズの上を払ったのだろう。リーチ一発ツモピンフドラドラ。

9ソウを切っていたら、18000点。18000発位は殴られていただろう。

いろいろな意味で、即死はまぬがれなかったと思われる。

6000点を点ハコから、一発のご祝儀2000円を無法者のカゴから払い、9枚の手牌を全力で全自動卓の開口部に叩き込んだ。

証拠隠滅。助かった。

奇跡の生還。生きてるってすばらしい。

無法者と交代すべく席を立つ私に、声がかかった。

「おう。若いの。よく9ソウ止めたなあ。たいしたもんだ。」

無法者は私を褒め「、なんか、食え。」と1000円札を手渡した。

「ええ、小牌ですから」なんて、答えるわけにはいかないので、軽く会釈をして、「バイトにいきます」と雀荘を離れた。

その1000円はなんだかものすごくくだらないことに使った記憶がある。

また、チョロチョロその雀荘に顔をだして、常連達から「あの時小牌していただろう?」なんて言われたら、目も当てられないので、2.3ヶ月は店には近づかないようにした。

今でも、思い出し、考える。

あの時の私の小牌は既にバレていたのではないか、などと。

今でも小牌の夢は寒い日なんかに良く見る。まったく持って忌まわしい記憶だ。

でもね、よくよく考えると、悪いのはどう考えても、私である。

今、この場を借りて謝罪します。

小牌してごめんなさい。 

 END

***

今週のつかさ会は3/20(日)

小田急線本厚木駅近くの「楽遊」です

AM10:00スタート、夕方くらいまでやってるので一緒に打ちませんか?

そのまま、会場にいらっしゃって

「つかさ会に参加します。」

と、お店の人に声をかけてください。

観戦、無料。

半荘1回、300円です。

「今日は、おれ、おかねないっす。」

という方も、気軽に覗いてみてください。



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