邂逅4
ツモッてきた⑤を空切りする。
「これで、ピンズも打ち辛いだろう。」
麻雀を少しはかじっている人間であれば、
この⓹手出しは看過できないはずだ。
でも、実際はカン8ソウ待ち。
「これが格の違いってやつだぜ。」
しかし、大男は、親である私の⑤手出しに
手の内から③を切り出してきた。
④⑦と読んだのかな?
と思っていたなら続いて④も切り出してくる。
③、④とピンズの両面ターツをはずしてきた。なんとも不気味である。
「私に、もしドラ7がトイツで入っていたら、12000点の可能性だってあるのに。
大男がドラを持っているのだろうか?」
大男の捨て牌が、不気味にみえる。
だが、ドラを重ねているなら、中盤に危険なピンズの両面ターツはずしとは、どういうことだろうか?
ピンズ待ちが存在しないという情報などどこにも落ちてはいない。
大男の捨て牌は、あらゆる牌構成を私に想像させた。
序盤8切り、東のあわせ打ち、でホンイツは考え辛い。
タンピンだろうか?15巡目に私は5をツモ切る。
しかし、8は釣れない。大男も次巡5を手出し。
なにがなんだか、わからない。
予想外にも流局だった。
おそらく私以外全員ノーテンだろう。
2900点のあがりも、ノーテン罰符の3000点の収入も、私にとって、充分な結果だ。
そう思い親である私から、手牌を倒す。下家はノーテン。
しかし西家の大男が、手牌を晒した。
私は不覚にも、驚愕を隠せなかった。
12233468西西西南南。!!!カン7待ちメンホンの聴牌である。
しかも肝心なドラも使ってない。大男の模打は4巡目には8。終盤に5手出し。
8でなく5を切れば12233456西西西南南の高め1ハネツモ3面待ち聴牌なのに。
「間違いない。カン8を一点で読まれた。しかも、メンホン聴牌。」
偶然ではない。何なんだ?この男は?
仮にカン8を読めたとしても、麻雀には入り目がある。
一点で読むことなど不可能だ。
しかも、8を切れば、最終形の3面待ちの聴牌。
8切りを我慢などできるはずはないのだが。
大男は、また、わたしの手牌と捨て牌を見つめている。
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